音に沿うということ



私にアンサンブルの楽しさと醍醐味を教えてくれたのは、当時私よりもエレクトーン歴が短いおばさまたちだったんです。

高校生の時、とあるアンサンブルチームに「助っ人役」で入りました。


メンバーは全ておばさま。

昔、ピアノをやってらしたおばさま。
ピアノソロが曲の途中であったのですが、その音が美しくてね。(エレクトーンで弾いてましたよ)
ハッとしてたら先生が寄ってきて「素晴らしいでしょ?」と。

「60の手習いなの。おばあちゃんだからご迷惑かけるけどよろしくね」とふんわり微笑んでくれた方。

練習しても上手くならないっていつも凹んでいる方。

確か鍵盤経験が少なく(もしくは無く)、某大手音楽教室のオトナコースに来た方ばかり。


アンサンブルの大会があってね、そのための楽器店内でのチーム編成でした。


私は働くお姉さま達とのチーム。

おばさまチームとあと濃い男子チーム(おじさま?お兄さま?笑)があったように記憶してます。

そのおばさまチームに助っ人として入りました。
ま、掛け持ちよね。

メインメロディは私の楽譜に1つもなく、5人のおばさまたちには弾けないけど、曲の中では重要なオブリガードの部分やおばさまたちにはちと難しいベースとかが並んでいて、それだけを練習していても、曲がイメージ出来ないほど複雑怪奇な楽譜。

例えばね、メンバーがベースをド、うん、ミ、と移る間に低いドのベースをタイミングよく差し込むような感じです。

おばさまたちの息遣いを感じながら、絶対に主張しないであくまでもメンバーが音を出しているかのように聞こえなければダメ。

私に頼んできた先生も「こんな楽譜書いちゃいけないのもわかってる。でもがんばっているおばさまたちを気持ちよく弾かせてあげたい。頼めるのはあなたしかいない。無理言ってるのもわかってる」と。


普段、その先生には好き勝手やらせてもらっていたので、お礼のつもりで参加しました。


でもね、私、そのおばさまアンサンブルで「合わせる」という醍醐味を味わいました。


本当に本当に難しかった…

自分がメインでカッコいい所弾いている方がよっぽどラク!

全ての音に耳をすませて、1回1回の合わせでどの方がどこを間違えやすいのか?どこを苦手としてるのか?
その時、私は何をしたらこのメンバーが安心して弾けるんだろう?
音量はこのくらい?もうちょい抑えめ?

5人の楽譜と各自のクセを脳みそに叩き込んで練習に望んでました。

私が出す音とおばさまが弾く音に差があったり、違和感があったらダメなんですから。

音が寄り添ってひとつにならないと。

結果、私が入っていた若い女子チームはおばさまチームに負け、おばさまチームはその上の大会へ。

当時は「なんで?!」と思いましたよ。
だって若い女子チームの方が弾けてますもん。笑

でもね、審査員はチームが1つの音になっていることを重視したんじゃないかな?と今は思います。

上の大会で退敗してしまったけど、舞台でご挨拶されるおばさまたちはとても良い笑顔されていました。

実はこの大会を最後にお別れをするメンバーがいて、花道を飾りたいと先生から聞いていました。

終了後、舞台裏でみんなが手を取り合って泣いていらっしゃいました。

何年も同じメンバーでやってきたと。

最後におばさまたちが選んだ曲は「ひまわり」

マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンが主演した映画の音楽。

物悲しく、でも強さを感じる曲。

今もカセットテープでこのメンバーで演奏した音が残ってます。

大切な大切な宝物。
私の分岐点です。

あの時、あのチームを入れてもらって今がある。
その時は分からなかったけど、後であれが私を作ったんだと感じる事がたくさんあります。

あの時のおばさまたちの年齢に自分がなり、あの方々がどれだけすごいことをやっていたのか、身に染みます。

あの時「こんなの弾けない。面白くない」と蹴っていたら、アンサンブルや連弾の良さを知らずに終わったかもしれませんね。

出会いとは不思議です。

おばさまたちと、その場を与えてくれた先生に感謝しかないです。



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